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情報誌「みみずく」
 

 「みみずく」は、NPOに関心のある方々に向けてメッセージを発信する「市民活動情報誌」です。その時々の問題をKECの視点から特集しています。ここでは、「みみずく」に掲載した巻頭言をご紹介します。

    ■第13号[2003年7月25日発行]   14号へ 
「私たちの原点へ」
市民活動センター神戸 理事
大阪大学大学院人間科学研究科
助教授 渥美 公秀
 最近、NPOの中心人物に会うと、決まって疲れておられる。NPOとして何をしようとしているか(ミッション)については、朗々と語る。しかし、日々、組織を維持する活動に四苦八苦だ。もちろん、組織維持を目的として活動するのは本末転倒であることぐらいわかっている。しかし、NPOとして本来やろうとしている事業に携わっていられるほど環境は甘くないともいえる。これではNPO本来の力がどんどん失われていってしまいそうだ。

 NPO本来の力とは、社会に実現していない事柄について声を上げ、解決に向けて提案し、活動していくことではないか。例えば、ある政策が実施される。これは、同時に、「他にあり得たかもしれない」政策を実施しないことを意味する。この「他にあり得たかもしれない」事柄は、(理屈上は)無数に存在する。その中から、当事者、地域、現場に密着して、代替案を提示していくことがNPOの持ち味だと思う。

 そのためには、日頃から、現場で当事者とともにじっくりと時を過ごさなければいけない。そこからアイデアが生まれ、心と魂のこもった活動へとつながる。しかし、現状では、そんな余裕がなくなってきている。「他にあり得たかもしれないが、今はこれだから仕方がない」という何ともNPOらしくない現状がある。

 さて、これだけぼやけば、さぞかし素晴らしい解決策を持っていると思われるかもしれないが、そんなものは、ない。確かに、NPO側にも原因はあろうし、税制が悪い、寄付文化が育っていないなどとそれなりの分析もできよう。しかし、分析は分析として、今は別にしておきたいことがある。

 被災地では、あれから十年の月日の流れを振り返る動きが出てきている。震災十周年という言葉に踊らされることなく、しっかりと原点に帰ってみたい。人々のつぶやき、まなざし、おもかげ。そしてあの風景。震災十周年へ向かう流れの中でこそ、私たちの原点をしっかりと考え直していきたい。案外、市民活動とかNPOという言葉が邪魔なのかもしれない。疲れていてはできない。  



▼その他の掲載内容/全8ページ
     <特集>「NPO」の商標登録問題
     <報告>2002年度を振り返って


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