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情報誌「みみずく」

 「みみずく」は、NPOに関心のある方々に向けてメッセージを発信する「市民活動情報誌」です。その時々の問題をKECの視点から特集しています。ここでは、「みみずく」に掲載した巻頭言をご紹介します。  

    ■第17号[2004年6月25日発行]   16号へ  / 18号へ
「声にならない声を聞く」 市民活動センター神戸 理事
新聞記者 磯辺 康子

「マスコミは、どうして長田ばっかり取り上げるんですか」
 阪神・淡路大震災の被災地で取材を続けていると、同じ問いかけを何度も受ける。 「長田」とは、神戸市西部の「長田区」のこと。地震後、区内各地で大規模な火災が発生し、九百二十人が亡くなった。

 冒頭の問いかけは、神戸市東部の東灘区、灘区の人たちと話をすると、特によく出てくる。東灘区では千四百六十八人、灘区では九百三十二人が亡くなった。長田区に比べれば火災の被害は少ないが、住宅の倒壊が激しかった。問いかけには「こちらも壊滅的な被害を受けたのに、きちんと報道されていない」という怒りのような感情が含まれている。


 データで証明されるものではないにしても、多くの人が同じ問いを発するということは、マスコミで長田という地域がクローズアップされる機会は多いのだろう。 私自身の取材を振り返ってみても、ほとんどが神戸市内に集中している。明石市や淡路島などの被災者にとっては、震災報道が神戸、阪神間に偏っていると感じることは多いと思う。しかし一方で、長田の人々も、マスコミが自分たちの苦しさを十分に伝えているとは決して思っていないだろう。

 「マスコミの限界」というと逃げているようだが、新聞やテレビが流すニュースは事実の一部を切り取ったものでしかない-とつくづく思う。この九年あまり、震災報道にかかわるなかで、「なぜ、仮設、復興住宅の被災者ばかり」といった言葉も、幾度となく聞いた。私自身の感覚でいえば、元の住まいを遠く離れた仮設住宅での高齢者の暮らしは相当に厳しいものだった。が、ほかの被災者の苦悩を十分に伝えていないという批判も、その通りだと思う。自省し、努力するしかない。批判してくれるうちはいい、とも思う。批判さえされなくなったらどうしようもない。

 市民活動の現場にも、似たような状況はないだろうか。 「ボランティアが行くのは、仮設や復興住宅ばかり」という意見を、市民からよく聞かされてきた。「ボランティア元年」といわれたあのときから十年目になる今も、「ボランティアなんて会ったことはない」と、少し怒ったように話す被災者は少なくない。

 そういう人たちは、支援がなくても自立できたのかもしれない。ボランティアというものに対する固定観念や誤解もあるだろう。しかし、こうした思いを震災後ずっと抱き続ける人々がいることを、私たちは決して忘れてはいけないと思うのだ。

 批判を口にする人がいるということは、思っていても言葉にしない人が大勢いるということ。自分たちと接点のない人が、自分たちの活動をどう見ているか-を常に心に留めておきたいと思う。その視点を失えば、活動の可能性は確実に狭まる。失わずにいれば、いつか新しい発見がある。
  
   ■その他の掲載内容/全10ページ▼ 

     <特集>    
        ・HYOGON「中間支援組織」調査から
       ・「復興基金」のゆくえ
       ・公益法人制度改革の現状とNPO
       ・「故田代正美さんを偲ぶ」

     <NPOだより>
       
震災10周年市民検証・中間報告
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