「最近NPOって言葉をよく聞くけど、NPOってなに?」って思っていませんか。
私には関係ない言葉?いやいやそうでもないかもしれませんよ・・・。ここではNPOについていろいろ勉強してみましょう!
“NPO”ってなに??
NPOは、アメリカで生まれた言葉“Non
Profit Organization”の頭文字をとった略語です。日本語に直訳すると「非営利組織」となります。
しかし<非営利=営利を目的としない>団体には政府や自治体も含まれるので、“市民が主体となった組織”という意味も込めて、「NPO=民間の非営利組織」と訳す方がより正確な意味を伝えられるかもしれません。
NPOという言葉の持つ意味は広く、人によってイメージするものが異なりますが、一般的には市民の発意に基づき自主的に活動する、市民が主体となった「市民活動団体」を指してNPOという言葉を使うことが多いです。広い意味では、社会福祉法人や社団・財団、生協や労働組合などもNPOに含める考え方もあります。またアメリカでは、私立の病院や学校、民間社会福祉事業団体、消費者団体のような「自己の経済的利益を目的としない」「社会的利益(公益)のために」活動する民間団体のすべてを指すのにNPOが使われており、日本のNPOとは違った印象を受けますね。
では、ここでいう「非営利組織」の“非営利”とはどういう意味でしょう。
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“非営利”って?
非営利なんだから利益を出してはいけないんじゃないの?と思われるかもしれませんが、NPO団体も事業などをとおして利益を上げることができます。
ただ、利益が出てもスタッフや会員など、関係者で利益を分配しなければいいということなのです。分配しないということは、事業をとおして出た利益をその団体の社会的な活動のために使うということです。
NPOの活動はボランティアによって支えられていることが多いですが、ここで誤解がないように伝えておきたいのが、利益の非分配=スタッフの無給ではないことです。NPOには有給で働くスタッフもいます。電気代や切手代などが事務的経費に上げられるように、労働の対価として支払われるお給料も経費の一部とされ、利益の分配にはならないのです。
NPOが取り組む課題には、ボランティア(=無給スタッフ)だけでは解決できない問題も多く、そうした問題に継続的に取り組むにはこうした有給スタッフの確保も重要なのです。そして、そのためにも事業を成功させ利益を出していくことは、NPOの活動を発展させていくうえで大切なことなのです。
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NPOって何をするところ?
ひとくちにNPOといってもみんなが同じ内容の活動をしているわけではなく、一つ一つの団体がそれぞれ自分たちの思い、目的にもとづいて独立して活動しており、その内容は様々です。
例えば、一人暮らしのお年寄りにお弁当を届けたり、いじめ問題や不登校問題などに取り組む活動、野鳥の保護や森林保全、犯罪防止活動や芸術家支援など、大小様々な団体がありとあらゆる幅広い活動を行っています。それは何も特別な人達が集まって活動しているわけではなく、ごくごく身近な普通の人々が、身近な問題を自分たちの手で解決したい、困っている人々を何とか助けてあげたいという“情熱”や“思い”を基調に集い、活動しているのです。
よくNPOを一つの団体の名称だと思って「NPOってどんな活動をしてるの?」と聞かれたりしますが、NPOは一つの団体のことを指すのではなく、各地で様々な活動をしているたくさんの市民活動団体(=非営利組織)の総称だという事はわかって頂けましたか?
NPOは自らの手で自分たちの住む社会を良くしていこうとする市民の集まりなのです。こんなサービスがあったらいいのに・・・そう思った時がNPOを始める第一歩になるかもしれません。
目を凝らせばたくさんの星が見えてくるように、関心を持って探してみればあなたのまちにもきっとたくさんの人たちがNPOで活躍しているのが見えてきますよ。
NPOとNGOの違いは?
では次に、NPOとNGOの違いを考えてみましょう。NPOとNGO、よく似た言葉で間違われる方も多いかもしれません。実際、ひとつの団体がNPOでありNGOでもあることが多いのですが、それぞれ違う側面を指して使う言葉です。
NGOは“Non Governmental Organization”の頭文字を取った略語で、「非政府組織」と訳されます。もともとは国連が、各国政府以外の立場や、一国の利害をこえた立場での参加を認め、それらの組織をNGOと呼んだのが始まりです。そういう由来から、日本では従来、国際協力や環境・人権の分野など国境を越えて活動する団体を特にNGOと呼ぶことが多かったようです。
1995年の阪神・淡路大震災の前後から、あらゆる分野の「民間公益活動団体」をNPOと呼ぶ動きが急速に拡がり、1998年の特定非営利活動促進法(NPO法)がそれを一層推し進めました。一方でNGOという言葉も、従来の国際協力等の分野にとどまらずに使われつつあるようです。
結局、「民間」で「非営利」の活動団体をNGO(非政府;Non Governmental)と呼んだりNPO(非営利;Non Profit)と呼んだりするわけですから、同じものの違う側面に着目した用語といえます。「民間非営利団体」の民間性に着目するか、非営利性を重視するかという違いです。
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ボランティアって?
“ボランティア”という言葉から何を連想しますか。“ボランティアさん”であれ、
“ボランティア精神”であれ、“ボランティア活動”であれ、「無償」のイメージが強いのではないかと思いますが、「自発性」というのが本来の意味です。多くのNPOはスタッフとともに様々なボランティアさんの参加によって支えられていますが、ともに大切なのはその自発性だと言えます。
“自らの問題意識に基づき社会的な課題に取り組む”というボランティア精神を基盤に成り立っているNPOでは、従来型の組織のように上司の指示で動くのではなく、自分が必要だと思ったことを提案し、合意を形成しながら行動することが尊重されます。そして、それがNPOの活力の源泉になっています。
NPOに初めて関わりをもったら、最初は、一体誰に指示を仰げばいいんだろう、ととまどうかもしれません。もちろん、事情がわからないうちから自発的に行動するのは難しいですし、勝手気ままに振る舞っていいということではないのですが、遠慮することはありません。NPOには「言いだしっぺの法則」とか、「この指とまれ方式」
という言葉があります。あなたが主役になればいいのです。有給・無給に関係なく課題に向かって個々が自発的に活動する。それがNPOでの新しい活動の仕方、働き方なのです。
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みんなNPOとどんな関わり方をしているの?
NPOの事務所にはいろんな人がいます。会社のように社長がいて、課長、社員、アルバイトがいてというのではないので、ちょっと見ただけでは誰が何の役割を果たしているのかよくわかりません。
中心になって働いている人が職員かなと思っていると「本業は別に・・」と言われたり、出された名刺に別のNPOの名前が刷られていたり・・・。NPOを理解するには、そうした人達のそのNPOへの関わり方を知る必要があります。
NPOに関わる人はひとりでいろんな顔を持っています。本業の傍らボランティアとして関わっている場合もあれば、「専従スタッフ」としてNPOを本業としている場合もあります。また、複数のNPOに同時に関わっていることも珍しくありません。
そういう人は、主に関わっているNPO以外は、非専従や兼務として理事や運営委員といった関わりだったり、ボランティアや会員ということもあります。NPOに足を運んだら、色んな人にそのNPOとの関わりやきっかけを尋ねてみるのもいいですね。
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スタッフのお給料はどこから出るの?
NPOが有給のスタッフを雇用しても良いことは先ほどお話しましたが、では、そのスタッフのお給料はどこから出ていると思いますか?つまり、NPOはどうやって収入を確保しているのかという問題ですね。
NPOの活動は、経済的に採算が取れない場合が少なくありません。採算が取れるのであれば、営利企業がやってもいいわけですから、それもそのはずです。では、どうしているかというと、まず活動に共感する市民から募る寄付金があります。そこで大切なのは、その活動が誰のために何をしようとしているのか明確に伝えられるかということです。また、会員制度を設けて年会費(月会費)という形で安定的に支援を得る方法もあります。
しかし、それだけでスタッフのお給料を確保することのできるNPOは多くありません。それで、助成金や補助金といった財源が手段となってきます。この2つの区別は厳密ではありませんが、ここでは助成金は民間財団などからのもの、補助金は国や自治体からのものとしておきましょう。一部には毎年固定的に出る補助金もありますが、一般的には助成金も補助金も毎年申請しなければなりません。最近は人件費や管理費経費にも認められる助成金が増えてきましたが、それでも通常は継続性のない資金(最大3年程度)なので、そうした資金には過度に依存せず、上手に「ステップに使う」ことが必要だと言われます。
もう一つの重要な収入源として、事業収入(対価収入)があります。これには、講習会等の参加費収入、書籍の出版販売、バザーや物品販売、サービスの料金収入等の「自主事業収入」と、行政からの委託事業の「委託費収入」とがあります。また、お年寄りにお弁当を届ける活動をしている団体であればその売り上げが利益になりますが、それを地域のために還元・再投資するこのような事業を、最近はコミュニティビジネスと呼ぶこともあります。こうして得た利益を有給のスタッフを雇ったり、団体を運営していく為の経費に使う事ができます。
もしあなたが活動の理念に賛同し、支援したいと思う団体が見つかれば、寄付をしたりその団体の会員になることで活動を支えることができます。会員になれば会報を読んだりイベントに参加することでより深くその団体の活動を理解することができるでしょう。市民一人一人が問題意識を持ち、活動したり団体を支えることで、社会全体をより良いものに変えていく力になるのです。
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NPOとNPO法人って違うの??
これまでNPOという言葉でずっと説明してきましたが、NPO=NPO法人だと思っていませんでしたか?1998年のNPO法制定以降にNPOという言葉が広く知られるようになったので、NPO=NPO法人と思われがちですが、正確にはNPO=NPO法人ではありません。
NPO法は正式には「特定非営利活動促進法」と言いますが、その法律に基づいて法人格を取得したNPOが「特定非営利活動法人」、すなわち「NPO法人」と呼ばれています。2003年10月末現在で、全国で1万4千弱、兵庫県では400強のNPO法人が誕生しており、団体の名称の前に(特)とか(特活)と付いている場合はNPO法人を表します。
実は、法人格があっても無くてもNPOはNPOで、単に“NPO”という時は両方含むことが普通です。しばしば「NPOの申請を考えている」とか、「このたび、NPOになりました。」といった表現を聞きますが、そのような場合、法人を念頭に置いていると思われるので、NPOではなくNPO法人と言った方が正確です。NPOという言葉自体はNPO法制定以前より使われていましたし、現在でも法人格を持たない団体もNPOであることには変わりありません。
一方、法人ではないNPOは任意団体と呼ばれていますが、実態としては団体であっても、法律上はあくまで代表者を中心とする個人の集まりとして扱われます。そのため、任意団体を設立するにあたっては特に申請や届出などは必要なく、メンバーで自由に活動を決めて組織をつくることができます。
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NPO法人は何が違うの?
団体の活動や規模がある程度大きくなると、財産所有や契約などの法律行為を個人の責任ではなく、団体の責任で処理できるようにしたほうが便利であり、実態にも合う場合が多くなります。そこで、法律で法人という制度を作り、団体が法律上の人格、つまり法人格を取得できるようにしたわけです。
法人格を取得すると、団体に関する法律行為を団体名義で処理することができるため、団体として安定的、継続的な活動も行いやすくなります。一方、任意団体はそういった行為を代表者の個人名義で行うことになりますので、万一代表に事故があった場合、財産の処理について問題が発生する可能性もあります。売買や委任、委託などの経済行為の取引相手から見たときに、個人よりも法人の方が安定感、安心感を与えるのは事実でしょう。
とは言え、法人格そのものは一種の手段に過ぎません。法人になるには一定の条件を満たさなくてはなりませんし、 自治体や政府機関への報告や届け出といった事務も増えますので、活動をしていく上で法人格が必要かどうか団体の主体的な判断が必要です。法人格をとにかく取ってから具体的な活動を考えようということでは、あとあと後悔することにもなりかねません。ですので、法人化のメリットと負担といったことをよく考える必要があります。
最後に、NPO法が法人格の対象としている活動分野をご紹介します。
1.保健、医療又は福祉の増進を図る活動
2.社会教育の推進を図る活動
3.まちづくりの推進を図る活動
4.学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動
5.環境の保全を図る活動
6.災害救援活動
7.地域安全活動
8.人権の擁護又は平和の推進を図る活動
9.国際協力の活動
10.男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
11.子どもの健全育成を図る活動
12.情報化社会の発展を図る活動
13.科学技術の振興を図る活動
14.経済活動の活性化を図る活動
15.職業能力の開発又は雇用機会の拡充を支援する活動
16.消費者ニーズの保護を図る活動
17. 以上の活動を行う団体の運営又は活動に関する連絡、助言又は援助の活動